「両想い?」日々が愛の地獄

Aぇ! groupの正門良規くんは超絶ぷりてぃーぼーい

舞台「染、色」初日から魂が帰ってこないまま桜について考える

 

 

2021年5月29日(土)

「染、色」初日

主演:正門良規(Aぇ! group/関西ジャニーズJr.)

 

正門くん、舞台に関わるすべてのみなさん。

1年越しの「染、色」上演、本当に本当におめでとうございます。

 

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( 天気もよくて地球からも初日を祝福されてるみたい)

 




「染、色」初日を観劇してまず最初の感想。

 

 

 

 

本当に、ひたすら「すごい」という言葉でいっぱいになった。

観劇しながら無意識に手が震えて、自然と涙が出てきて、胸が締め付けられて。

そんな感覚になるのはいつぶりなのか思い出せないぐらい、衝撃的な演劇体験だった。

正門くんが、文字通り体当たりで”深馬”という役や、共演者、演出家さん、そして加藤シゲアキが書いた戯曲にぶつかってきたんだろうなということが感じられて、正門良規の底知れない可能性に触れて鳥肌が立った。

 

原作を読んでいたときの胸がざわつく感じが舞台でも感じられて、シゲが表現したかったものが小説以上にダイレクトに観客に届いたんじゃないかなと思う。

正門くんの実直さを通して小説「染色」の世界がより鮮やかに生々しく舞台「染、色」として、実体を持ってこの世の歴史に刻まれた瞬間を目撃できました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(舞台のネタバレあり)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正門くんの演技のなかでも、特に「目」の演技がとっても印象的で。学祭で展示した自分の作品を見つめる深馬の真剣でどこか冷たい目も美大生トリオの北見&原田とおふざけして笑ってる人懐こい目も、杏奈(彼女)に見せる彼氏としての目も、真未に向ける好奇心に満ちた目や恐怖の目も……全部同一人物の目なんて信じられないぐらいふり幅が大きくて!!!

これまでのお仕事を通しても正門くんの視線の魔力は痛いほど感じているけど、改めて、本当に視線の表現力が抜群な人ですね、正門くん……正門良規って一体、何者……。

 

 

正門くんの演技、コンテンポラリーダンスを使ったグラフィティシーンの魅せ方、舞台装置の緻密さ、衣装の話、正門くんのとんでもなく絶妙な体格の話、原作との違いについて、正門くんの声、共演者のみなさんのキャラクターの一貫性、松島さんが生み出すリアルさ……とかとか話したいことがたくさんあるんだけど、何よりも、個人的には舞台の冒頭で登場した「桜」の台詞が気になって仕方なくて、思わず「秋に咲いた桜」について色々調べてしまった結果そのメモを残しておきたいなと思って、はてなブログを開いている、いま。という感じ。

 

 

深馬と“真未”の関係についても書きたいことがたくさんあるなかで、桜の話をする前にひとつだけ、深馬の服装について。

深馬の服装は、最初はベージュと白のワントーンで、羽織ってるシャツも柔らかい素材で優しい印象なんだけど、”真未”に出会ったあと、舞台後半で衣装が1回ガラッと変わるんだよね。素材もパリッと張りがある黒の五分袖シャツに黒のパンツの上下黒の服装で、両腕はカラースプレーでピンクとブルーでベタっと塗られているっていう、まったくの別人のような風貌で登場した瞬間、深馬のことを真っ先に「怖い」と思った。

全身黒装束×両腕をカラースプレーで本人いわく「消毒」している“真未”との同一化が進んでることの現れとして象徴的な転換のひとつだったと思う。

 (ちなみに"真未"と会わなくなった深馬はまた白×ベージュの服装に戻る)


舞台の登場人物に対して「やばい奴」という認識はあっても「怖い」と思ったのは初めてなんじゃないかと思う。

 

例えば、橋本くん(A.B.C-Z)が演じてたコインロッカーベイビーズの「ハシ」は、見るからに顔つきも雰囲気もガラッと変わってどんどん狂っていく姿が分かって、その変わり様にぞくぞくする感覚が大好きだったし"怖い"よりも"壊れていくハシが心配だし愛しい"という感覚だったけど、今回の深馬の、本人は"変化している自覚はないですよ(と思いこんでいるだけかもしれない)"って顔つきで振る舞うのに、纏ってる空気は、時間が経つにつれてまったく別物になっていくことに不気味さを強く感じて、シンプルに深馬という男の子が恐ろしくて、ヒッと声が出そうになった。

 

衣装が変わる前の時間も、正門くんの見せる深馬の変化はすごく生々しかった。

 

この深馬の変化の見せ方って、正門くんがもともと持ってる身近な人間への愛の重さとか、物分かりと人当たりは良いし柔軟な考えを持っているけど芯はぶれなくて負けず嫌いで……というような静かに人間くさいところとか、そんなところがギュッと凝縮されているようにも感じて。

(正門くんの演技を「正門くん好きーーー!」のフィルターなしで見るとどう感じるのか気になる)


とにかく「これ以上正門くんの世界に引きずりこむのはもう勘弁して!!!これ以上拗らせるのはしんどすぎます!!!降参です!!!」という気持ち。

 

 

 

 

はあ、それはさておき。(全然さて置けないけど)

 

桜のはなし。


の前にもう一つだけ。

深馬の彼女・杏奈(一人だけ芸術に全く関係ない女子大生)の就活の話。


面接がうまくいかず就活に苦戦していた杏奈。

面接で会社の理念や事業について上辺なことばかり褒めて自分のやりたいことや主体的に何かを話すことはなかった。

でも、ある面接で「尊敬する人」について聞かれて母親と深馬の話をした。

深馬のことを、彼氏だとは伏せつつもとても尊敬しているのだ、という話をすごく生き生きとした表情で話していた。

その会社には見事合格。


"真未"と関係を深めてすっかり雰囲気の変わってしまった深馬に「深馬くんのおかげで就活受かったよ」と話していたけど、それは違う。

杏奈が受かったのはきっと、深馬をどうにか救いたいという思いをきっかけに、主体的に自分の本心をきちんと話すことができたからなんじゃないかなと思う。

深馬のおかげじゃなくて、しっかり杏奈が自分の手で掴み取った合格。


杏奈みたいに就活がうまくいかず自信をなくすっていう経験はかなり多くの就活生が経験したことがあるんじゃないかと思う。

このシーンは杏奈から深馬への一方的な気持ちの強さ、深馬から杏奈への対応の変化、みたいなところが濃くて健気すぎる杏奈が得意じゃない人もいるかもしれないけど、

自分には取り柄がない、何もない、と沈んでいる人たちに対してのひとつの光でもあるし杏奈がひとつ階段をのぼれた瞬間のような気がした。

そのとき一方深馬は……と言う感じで"真未"と戯れているわけだけど!!!


これだけはちょっと忘れないうちに残しておきたくて、挟み込んでしまった。


 

はい、ようやく桜のはなし。


舞台開始2~3分の本当に最初のシーン。

キャンバスに向かって絵を描いている深馬と、そこにやってくる同じゼミ生の北見。

作業を一旦止める深馬は、ふと思い出したように北見に問いかける。

 

深馬「北見!前にさ、秋なのに桜が咲いてたって話したよね?去年の10月。それって十月桜?」

 

十月桜ではなくソメイヨシノだという北見の返事を聞いた深馬は念を押すように、しっかりとした口調で続ける。

 

深馬「じゃあ間違えて秋に咲いちゃったんだね。それって、次の春も咲いてた?秋に咲いちゃった桜って次の春にも咲けるのかなあって」

 

 

 

 

 

 

 

 ●そもそも「秋に咲く桜」は実在するのか?→実在する(*1)

・時期がずれて桜が咲くことは「不時現象」、「返り咲き」、「狂い咲き」などと呼ばれる

・2006年10月に長崎・下関・佐賀・鹿児島でソメイヨシノの狂い咲きが観測

・2012年10月に東京、2020年9月に宮城・栃木、10月に熊本・岐阜・三重で観測

・もともと、秋冬に咲く品種の桜もある(十月桜、冬桜、などがある)

・秋に咲いた桜の「花」は来年の春は咲かない。同じ木の中でも咲かなかった花は咲くこともある。

・梅雨の長雨による根腐りや、猛暑、台風の強風などの外的な環境要因で葉が落ちると早咲きすることがある(*2)

・「桜が生きるために秋に花を咲かせた」なんていう解釈も

「桜が生きるために秋に花を咲かせた」という解釈もある。秋に花を咲かせる桜が時折あるが、その場合、他の木に比べて葉が少ないという。台風などで葉が落ちてしまうためだ。桜はこれ以上葉を失わないために生長を抑制しているが、温かくなってつぼみを開かせるという。桜に花がつけば新しい葉が生えるようになる。葉があってこそ光合成を行い、寒い冬を耐えるだけの養分を蓄積できるようになる。桜が時ならぬ秋に花を咲かせたのは生きていくための自救現象ではないかということだ。(https://s.japanese.joins.com/JArticle/246500?sectcode=A00&servcode=A00)

 

 

 ●桜ってどんな条件を満たしたら咲くの?(*1,*2)

・葉が落ちると桜は開花する

・春に咲くサクラの花芽は、前年の夏7月頃に形成され、その後「休眠」状態になる。休眠した花芽は、秋から冬にかけて一定期間低温にさらされることで眠りから覚めて、開花の準備を始め(=「休眠打破」)、春になると気温の上昇とともに、花芽が成長してピークを迎えて開花する

・つまり「開花」には秋から冬にかけての気温の低下と春先の気温の上昇がセットで必要になる

 

 

 

まず、深馬の台詞にも「去年の10月」とあったように、本当に2020年10月に咲いた桜はあるらしい。なるほど……たまたま?それとも事実に基づいた日付設定?しっかり事実に基づいているシゲアキ先輩……さすがです……。

 

 

 

 

この言葉について色々考えをめぐらせてみた結果、

深馬が秋に咲いた桜に自身の限界を感じてる自分を投影して「俺はまだやれるのか、それとももう終わりなのか」を北見に問いかけながら自問自答しているのかなと思った。

 

 

桜=才能

 

秋に咲いた桜(ソメイヨシノ)=本来、春に咲くはずが予定より早く咲いてしまった=ピークを迎えて、年々くすぶっていく深馬の才能?

 

一度咲いた桜(深馬の才能)がもう一度開花することはあるのか?

 

この言葉は、悲観的な問いかけにも感じるけど個人的には、

そもそも桜は春に咲くものだと人々は思ってるけれど、あくまで思い込みなのではないか?/一度咲いた花が咲かないという通説はあるけれど、もう一度咲く方法もあるのではないか?っていう諦めない気持ちや希望を込めた反語的な問いかけにも思えてしまうというか。

 

まだ1回しか観劇していないから記憶が曖昧なんだけど、

最後に深馬が立ち尽くしてるところでセットの上段で真っ白なワンピースを着た真未が、桜の花びらみたいなキラキラの中に立っていたような記憶があって……。

 

舞台のなかで”真未”=深馬の一部(深馬が自分の中に押し込めていた才能/世間体を気にせず自由を求める人格/押さえつけている自我)として描かれているように感じたから

そんな"真未"が真っ黒な衣装から一転して、真っ白なワンピースを着て桜の花びらと光に包まれていたってことは深馬の未来にも明るい光が差し込む日がくるはず……?

 

という感じでぐるぐると考えている、いま。

 

この言葉がどれぐらい「染、色」のなかで重要か私には分からないけど、全体を理解するための一つのキーワードなんじゃないかな…と気になって仕方ない。

桜のくだりを丁寧に話していたようにも感じて、大切な言葉なのかなとも思ったり。



あと「桜」って入学シーン、卒業シーンとも結びついているものだなと思っていて。

"受験にたまたまうまくいって"「美大生」に首席で入学したあの頃の深馬。

己の限界を感じながら何者にもなりきれず卒業が迫ってきた今の深馬。

みたいな"学生"感を際立たせる存在でもあるなと感じた。

これは個人的な経験によるけれど、「桜」には希望や新たな季節を強く感じるタイプの人間なのでなおさら「桜」の言葉が気になったのかもしれない。

 

 

ちなみに、原作にはこの台詞なかったような……と思って「秋に咲いた桜 傘を持たない蟻たちは」「秋に咲いた桜 加藤シゲアキ」で調べてみたら、シゲのソロ曲の「秋に咲いた不時の桜は 次の春も咲けるのだろうか」って歌詞がヒットしてびっっっっくり。えーーーーーーーー!?

 

星の王子さま」作詞作曲:加藤シゲアキ

"In one of the stars I shall be living. In one of them I shall be laughing."
BitterもいつしかGood tasteになる
ならこどものままで僕はかまわぬ
秋に咲いた不時の桜は
次の春も咲けるのだろうか
幸福にくすぐられる感傷をいつまでも

加藤シゲアキ(NEWS) 星の王子さま 歌詞 - 歌ネット

 

 

2016年のソロ曲として自分が書いた詞の一部を、2020年の戯曲にもってくるなんてトリッキーだし、めちゃくちゃ意味深じゃん…………!?

 

 

さすがにシゲやNEWSを取り巻く2015~2016年頃のことは調べきれないけど、ひとまず、2015年に「傘を持たない蟻たちは」刊行、「ピンクとグレー」が映画化、2016年1月に「傘を持たない蟻たちは」(「染色」収録作)がドラマ化されているっていう時系列と、ソロ曲「星の王子さま」はその名の通りサン=テグジュペリの『星の王子さま』を題材にしているらしいってことだけは把握した。

そういえばピンクとグレー、観に行ったな。

 

 

なんだか、勝手にこんなにあれこれ考えすぎて申し訳ない気持ちにすらなってくるんだけど、ソロ曲「星の王子さま」と舞台「染、色」のメッセージ性は何かしら関係してるんじゃないかなあ〜〜

 

星の王子さまの「大切なものは目に見えない」ってメッセージだったりとか、

歌詞に出てくる「ひとつだけを探して」みたいなところあたりが「才能」や「自我」と向き合う大学生たちにとってひとつのテーマとして大切なことな気もする。

 

ってところで、一度おしまい!

 

「秋に咲いた桜」を調べた結果、答えは出ず余計気になることが増えて迷宮入りしたけど、台詞ひとつに向き合ってみても、原作者&脚本のシゲがとっても生き生きと作った戯曲なんだろうなあ~~ということが感じられて「染、色」の世界がもっと現実世界に染み付いてしまいましたとさ!!

 


「可能性が広がっていくときって一方で閉じてく可能性もあるんだよ」

「ちゃんとした不幸とちゃんとした自由」

「作品を完成させる=死ぬってこと」


あたりの台詞もゆっくり考えたいんだけど、

~~時間が足りない!

 

初日に観劇した衝動で、考えたことをがーっと書いているものだから今後また観劇したらここまで書いたことは「全部撤回で!!!」となる可能性もあるけれどそれはご愛嬌ということで。

 

正門くんはどんなふうに深馬を理解して、「染、色」の世界のメッセージをどう考えながら演じているんだろう……とっても気になる。

10年間の経験値によって、わりとスッと感覚的に「染、色」を掴んでいたりして。

そのあたりぜひ知りたいけど、知らない方が自分なりの「染、色」を味わうことができるのかな。

いつか正門くんが「染、色」を振り返る日が来たらぜひ聞いてみたいなあ。



正門くんはものすごい作品で初主演を経験しているなあ……そのおかげでこちらもただ観劇するだけじゃなくて、その延長線で知らなかったことに気づけたり考えなおしたりすることができて、ありがたすぎる観劇経験をできている気がする。

正門くん、素敵な作品に出会わせてくれてありがとうございます。




正門くんが言っていたように、最後までスタッフキャスト1人も欠けることなく横一列になって挨拶できますように!

千穐楽まで、健康第一で大きなケガなく、「染、色」チームで駆け抜けられますように!

 

大役を務めあげる正門くんが残りの公演でどんな姿を見せるのか、どんなことを吸収していくのか、楽しみです。



改めて、「染、色」初日を迎えられたこと心からお祝い申し上げます。おめでとうございます💐


#いいぞ正門

#いいぞ正門すぎて怖いぞ正門 

 

 

 

出典

*1 https://style.nikkei.com/article/DGXNASFK3000S_Q2A031C1000000/

*2  https://www.fnn.jp/articles/-/92185?display=full